第7章 有栖と魔法使い
『…んん……あれ、昨日、あのまま寝てしまったのか…』
昨夜、窓際に置かれた机につき、月を見上げていた僕は、そのまま机に突っ伏して寝てしまっていたようで、目が覚めると、開いたままの窓からきらきらと柔らかい朝日が差し込んでいた。
(夢でした、…なんて、あるわけないか)
足の痛みはやはり本物で、僕は小さくため息をつく。
【ぐぅうう~】
盛大にお腹が鳴り、昨日はほとんど何も口にしていないことに今更 気が付いた。
『お腹が空いたが…、朝食はどうしようか…。』
その時、窓から、ふわっと良い香りが漂ってきた。
【ぐぅうう~ぐぅ~】
香りに誘われるように鳴ったお腹を 反射的に押さえると、
「ぷっ…っあはは!朝からすっごい音だね~」
声のする方に顔を向けると、開けられた扉の横でお腹を抱えて笑うロキがいた。
「おはよ、有栖♪」
『おはよう、ロキ…さん
…そんなに笑わなくてもいいじゃないか…』
思わずむっとして、ロキを睨む。
「ごめんね。だって、あんなに大きなお腹の音、聞いたことないから面白かったんだもん、
…怒ってる君の顔も可愛いけど、出来たて朝ごはんを食べる君の顔はもっと可愛いんだろうねー?♪」
僕は"ご飯"という単語を聞いた瞬間、勢い良く立ち上がった。…ロキの甘い台詞など聞こえているわけがなかった。
『…っ!出来たて朝ごはん…!それ、僕も食べてもいいのか?!』
「っあはは!食い意地が張ってるところは変わらないんだね~
まあ、昨日は何も食べられなかったみたいだし、当たり前かぁ…
もちろんだよ、一緒に食べよ?」
『ロキ…さん!ありがとう!!』
「さん付けだなんて嫌だなあ、ロキでいいよ♪」
そう言って微笑んだロキは、画面で見るよりずっと綺麗で、僕は思わず見惚れてしまうのだった。
もちろん、朝食はとても美味しくて、僕は2人がいることを忘れるくらい夢中になって食べた。
2人は目を丸くして、食べる手が止まっていたんだが…行儀が悪かったのだろうか…。