第5章 有栖と入らずの森
ここがどこかも分からないまま、とにかく走った。
息が切れても、靴が脱げても、とにかく走った。
《どうしたんだ?何か、いつもと雰囲気が違くないか…?///》
(…やめてくれ)
《…目の色が……違う!??》
(…嫌だ…!やめて!!!)
『うわっっっ』
足がもつれ、ドテッと派手に転ぶ。
『いった………。』
膝からは血が出ていて、靴は脱げ、足の裏からも血が滲んでいる。
見上げると、日は高く上がっていて、
痛みで少し冷静になった僕がいたのは、森だった。
(ここは、黒の領地だろうか…。
あー、冷静でいられると思った僕が馬鹿だった…。
彼らを目の前にして、冷静でいられるわけがないよな…
その上、"あの力"も使えてしまうなんて…。まあ、"3秒以上目を合わせなかった"だけ、良かったのかな…。
目の色も変わっているみたいだし、もう、僕がエルじゃないってバレただろうし、
この先、どこへ行けばいいんだろう…)
走り続けた疲労と、今起きている信じ難い出来事に頭がついていかなかったのか、僕はそのまま意識を手放し__
____気が付くと、辺りは既に暗くなっていた。
その時…
「……エル…?どうしたの、こんな所で?」
『…っ!』
(この声は…)
声のする方を振り向くと、思った通りの 赤と黄の瞳が僕を見つめていた。
そして、彼の口から出た言葉に僕は思わず目を見開く。
「…いや、エルじゃないね?
君は…誰??」