第4章 有栖と黒の軍
(…夢のこともあったし、このアリスが、僕がプレイするイケレボの中のエルだと考えて良いだろう…。)
『とりあえず、1ヶ月。
1ヶ月後の満月に、彼女が、エルが戻って来ると信じるしかないな。』
こんな、普通の人なら混乱する状況でも 冷静に考えることができたのは、何故だろう。
自分でも分からないが、今まで"化け物"、"異星人"などと言われたり、"予想もつかないようなトラブル"を乗り越えてきた甲斐があった、というものなのだろう、ということをぼんやりと思っていた。
『よーし、そうと決まれば、あとは事を穏便に済ませる為にも、余計なことは言わず、何とかバレずに過ごそうか…!』
まずは、着替えよう。
あれ…、パンツは1本しかないのか…?
他は全部スカートとワンピースって…嘘だろう…。
次に、髪を梳かして編み込もう。
どうして髪が絡まるんだ?
…というか、編み込みってどうするんだ…?
ええい!今日は1本結びにしてしまえ!!
『あとは…、顔を洗って、歯磨きをして、朝食を……』
…ちょっと待て、僕はこの部屋から出たら、すぐに迷子になるんじゃないか?
ゲームの中では兵舎の構造なんてなかったし…
誰か、いないものか…。
………………。
今まで、冷静に考えていたつもりだったが、
ここが、本当に、イケレボの中のクレイドルだとしたら、必然的に"彼ら"にも会うんだよな…???
……ちょっと、それは…、
僕は、正気を保てるのだろうか…。?
その時。
【コンコンッ】
「お嬢ちゃん、起きてるか?そろそろ起きないと、ルカの出来たてホカホカ朝食が食べられなくなるぞ」
『……………!
はい!起きてますよ!今行きます!!』
…よりによって、"彼"が最初だなんて…。
これから僕は1ヶ月もやっていけるのか…?
意を決して、扉に手をかける。
【ガチャッ】
なるべく、自然に。笑って。
『おはようございます!シリウスさん!!』
「…ああ、おはよう、お嬢ちゃん。今日も元気そうで何よりだ」
こうして 僕の 忘れられない1ヶ月が始まった___。