• テキストサイズ

【イケメン戦国】短編集✲*゚

第6章 【猿飛佐助】無知に基づいた論証





「…帰りますか」


暫しの沈黙を打ち破るように、佐助はそう言うと。
嵩張る風呂敷包みを受け取ろうと、手を伸ばした。


千花はその手を眺め、じっと考え込むような素振りを見せ…そして、ゆっくりと口を開く。





「私も、忍びだからと…普通のおなごとしての生活は諦めてきた所がありまして」





佐助はその言葉に少し考え…先ほどの自分の言葉に対する答えだと思い当たり。
消え入りそうな千花の声を聞き漏らすまいと、しゃがみこむ。




「でも、姫様が忍びなど関係なく…私の事を友だと、言ってくださったので。

私自身そういう柵を捨てたいな、と思ったのです」





言い終わり、にこり、と笑う千花に思わず見惚れたその隙に。
風呂敷包みの乗る筈だった佐助の手に、千花の手が重ねられる。





「…意外と肉食系女子」
「え?佐助様、何かおっしゃいましたか?」



「いや、何でも。

…何事も無知のままだと勿体ないな、と思って」








繋いだ手そのままに、二人は掛け声よろしく、どろん、と。
煙を巻き上げ、その場から消え去ったのだった。




/ 215ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp