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【イケメン戦国】短編集✲*゚

第6章 【猿飛佐助】無知に基づいた論証





一旦花梨糖を部屋に置くと、彼女は更に千花を連れ城内を練り歩く。
そして、目当ての部屋の前でにっこりと笑い立ち止まった――



「姫様、あの…こちらは…?」
「ふふ、頼りになる色男の部屋なんだよ」



すぅ、と息を吸い。
彼女は彼の名前を呼びかける――






「ひでよしさーんっ!!!」




呼びかけに応えるようにばたばたと。
足音が響き、すぐに中から襖が開けられる。



「どうした…?っと。珍しい、連れがいるんだな」
「えっと、最近仲良くなった千花ちゃん。
あの、実は折行って秀吉さんにお願いがありまして…」



ん、なんだ?とにこにこと聞いてくれる秀吉に、思わず二人も笑顔になり…招き入れられた部屋の中、「お願い」を口にする。
秀吉は少しの間考えると、閃いたように徐ろに踏み台を取り出し。
がさがさと天袋を漁り始める――






「ほら、これでどうだ?」
「わわ、秀吉さん!期待以上ーっ!」



畳の上に所狭しと並べられたのは、色や大きさもとりどりの千代紙。
きらきらと金箔を使ったような物から、落ち着いた矢柄や格子柄の物まで多種多様。



「秀吉様、こちら頂いて行っても宜しいのでしょうか…?」
「あぁ、二人に頼まれちゃしょうがない。好きなだけ持っていっていいぞ」


「ありがとうございます!これでラッピングもオッケー、っと。

ふふ、こういう女子が喜ぶ物はやっぱり秀吉さんに聞いてみるに限るね。流石色男っ」




二人は気に入った千代紙を手に取り、部屋を後にする。



「おいおい、別におなご受けを狙った訳じゃ…たまに家臣が子を連れてくるから、その相手をするのにだな、」


「じゃあ、秀吉さん!ありがとうございましたぁっ」



言い訳を途中で遮られた秀吉の苦笑を残し、ぴしゃり、と襖が閉められた。
きゃっきゃと二人の楽しそうな声が遠ざかって行くのを聞きながら、途端に秀吉は表情を変え。


考え込むような顔で、独りごちる。




「千花…見慣れない顔だったな。信長様に、報告しておくか」



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