第6章 【猿飛佐助】無知に基づいた論証
ちらり、と二人を見ると。
すぐに家康は部屋を後にした。
にこにこと手を振って見送る彼女に対して、佐助はふう、と安堵めいたため息をつく。
「どうしたの?やっぱりファンとしては、実物に会うと緊張する?」
「それも無くはないけど、やっぱり…彼氏としては、男と二人きりで部屋にいるのは良く思わないんじゃないかと思ったから」
「うーん、でも、佐助くんの事はとやかくいわないんだよね…多分、現代人仲間だから。割って入れないって、ある意味悟ってるのかも」
まぁ、だからこうして佐助くんと企めるんだけどねー!と。
笑う彼女に絆されるように、口元を緩め。
佐助は残りのお茶を飲みきった。
「まぁ、口ではそう言ってても…目はそう言って無かった。アフターフォローはきちんとした方がいい」
「ふーん、そういうもの?」
「俺は、そう感じた。同性だから分かるのかも知れないけれど」
彼女は少し宙を見上げ、何かを考える様な表情を見せた。
そして部屋を出ようと立ち上がった佐助を引き止めるように、口を開く――
「ね、佐助くん!…えっと、なんだっけ。何ざるだっけ」
「軒猿だよ」
「それ!それって、女の子もいるの」
佐助は、突然の質問に困惑しつつ。
先程所謂恋バナ、をしていた…その続きと受け取る。
「女性も居るけど。忍びの活動って言うよりは…諜報活動なんかをしてるから、俺みたいなthe・忍者って感じではないな」
「…ふーん」
「じゃあ、俺はもう行くから。何かあったらいつも通り、狼煙を上げてくれれば駆けつける」