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【イケメン戦国】短編集✲*゚

第5章 【徳川家康】日和姫





「秀吉様も、久方振りにございます。未だふらふらと、おなご泣かせな真似をしておられるのですか?」
「久しぶり、千花。いつにも増して手厳しい…三成と政宗は、初めてだったな。お市殿のご友人の、千花姫だ」



秀吉からの紹介を受け、二人が頭を下げる。
千花は花の綻ぶような笑顔を浮かべた。



「お名前は存じております…独眼竜 政宗様ですね。お噂に違えず、雄々しいお姿」
「ご存知頂いているなど、光栄の至り」


「そして、其方は石田三成様。秀吉様の腹心と伺っております」
「初めまして、千花様。私の事はどうぞ、様等と付けて頂かずとも結構です」


「では、三成くん、ですね…そして、光秀様。ご無沙汰しております…相変わらず、こそこそと私の國にもいらしておられたようですね」
「くくっ、ご存知でしたか。今度からは気付かれぬよう、気を引き締めねばなりませんな」



そして、千花がほんの一瞬、目を伏せたのに。
勘の良い武将達は目敏く気づいた…が、しかし次に顔を上げた千花は今までにも増して、堂々とした面持ちで。


何処か固い表情の家康の方に、身体ごと向き直し、厳かにも見える程ゆっくりと口を開く――



「家康様も、ご無沙汰しております」
「そうだね、久しぶり」
「相変わらず、愛想も何も無い…御挨拶ですね」
「あんたに振りまく愛想は持ち合わせてないよ。初対面でも無いのに」


「本当に、連れない態度。寂しいことです」
「よく言うよ、あんたこそ、そのつんけんした物言い…どうにかしたら?『行かず後家』の姫君でしょ」



家康の言葉に、千花の表情にさっ、と影がさした…気付いたお市と秀吉が、咎めようと口を開く、それより先に。
千花がすっかり元に表情を戻し、笑う。



「その通り、行けず、ではなくて行かず、なのですよ?幸いにも、お相手を選ぶ事が出来る立場ですので」



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