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【イケメン戦国】短編集✲*゚

第4章 【徳川家康】ちびっこシンドローム




「…え、」


「たまに、凄く寂しそうだったから」



ほんの小さな行灯の明かりに照らされて、大きな目が見透かすように此方を覗く。



「…うん、そうだね。大事な人に、今、会えないんだ」
「だいじな人?恋仲ってこと?」


「…そう、だね」


竹千代は、何故かしん、と黙り込んだ。


「それで、私ちょっと…寂しくて。ごめんね、隠してるつもりだったんだけど」
「べつに、かくす必要ないでしょ」
「…ふふ、そうだね…ありがと。竹千代は、寂しくないの?お父様お母様と会えなくて」


「…別に。いつも色んなところを転々とさせられているし、一緒にいることなんてほとんどないから」
「…そう、なんだ」



家康らしい口ぶりに、笑ってしまいながらも。
言葉とは裏腹な、寂しそうな声音に、きゅっと喉元を掴まれたような苦しさを感じる。
せめてここにいる時は寂しさを忘れてほしい、と思ってしまう…


竹千代の大きな目が、ゆるゆると閉じられるのを見届けて。
また、泣きそうになり唇を噛む――この涙は、家康のためか、それとも、竹千代のためなんだろうか…?


その時、がたがたと。
天井の板が一枚動くのが見えて、そっと布団を抜け出し、半纏を羽織った。



「やあ、昼ぶりだね」
「…あ、佐助くん!昼ぶりー…!」


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