第4章 【徳川家康】ちびっこシンドローム
それからは、武将様達が代わるがわる竹千代を構いたがるのに任せ。
竹千代は連れ回さればたばたと…しかし、とても楽しそうにしている。
秀吉さんには男たるもの綺麗な字が書けなくては、なんて書道の手習いを受けていた。
光秀さんの腰に銃が挿さっているのを見つけ、撃ってみたい、と竹千代が零すと。意外と面倒見よく、修練場に連れて行って貰っていた。
信長様には、早駆けを体験させてやろうなんて言われて…安易に喜んだものだから、馬で駆けずり回されフラフラになって帰ってきた。
そこに政宗が、幼子の頃から上手いもの食っとけ!なんて家康の好きなわらび餅を作ってくれていたから、今は皆で並んでお茶をしている。
「ほんとに、ほんとにすごいです、信長様っ…」
「そうであろう。貴様もかくある様、励むと良い」
「俺も、そうなれるでしょうか…」
「それは、貴様の心持ち次第だろうな…どうだ竹千代、貴様大きくなったら俺と組むか」
「…織田信長様と、ですか」
その言葉に突然口篭り、俯く竹千代。
どうしたのだろう、とその顔を覗き込む。
しかし信長様はまるで、その態度を予想していたかのように笑みを崩さない。
「どうした?」
「おれは、ひとじちとしてお家を護るのだ、と父上と母上に言われています」