第4章 【徳川家康】ちびっこシンドローム
「ははっ、コイツはおもしれぇ!!」
「ちょ、やめっ、あんたなんなのっ…!!」
政宗にわしわしと頭を撫でられ、困り果てた様子のいえや…竹千代、を縁側に腰掛けて眺める。
安土城に戻ってすぐ、天守に竹千代を連れていった所、流石昔なじみで信長様はすぐに家康であると納得し。
武将様達を呼び集め事情を説明した所、誰も疑う事なく竹千代を構い倒している。
「はぁっ…ねぇ、あんた…のぶながさま、が今の織田家の当主なんですか」
「そうだ。俺は第六天魔王、織田信長。以後忘れるな」
「…織田家には吉法師っていう大うつけがいるって聞いてたけど。のぶながさまのようなかたがいるなら、安心ですね」
「く、くくっ…本人を眼の前にして、命知らずな事よ」
「信長様、小童の申すことですから!」
「貴様等、俺を誰だと思うておる。そんな事は先刻承知…だが、聞き捨てならんな」
信長様がその言葉と同時に、竹千代を担ぎ上げる。
「な、なにをっ…」
「貴様の無礼に対する、仕置だ」
そう言って振り落とす真似事を何回かすると、初めはびっくりしていた竹千代も次第に笑顔を浮かべ、笑い声を上げだした。
信長様は子供の扱いにも長けているんだな、とその様子を微笑ましく見守る。
「まるで本物の親子の様ですね、千花様!」
「三成くん…皆、順応が速いよね。家康が消えて、子供の家康が過去から来た、なんて…ビックリすること、突然言ったのに」
「現に、千花様という前例がございますから。そもそも、竹千代様はどこをどう見ても家康様ですし…第一千花様が嘘や冗談を申されると、誰も思っておりませんよ」