第13章 【豊臣秀吉】一度限りの奇跡
つまり、秀吉様のお膝の上に頭を乗せて、寝かされている状態に。
余りのことに目を白黒とさせる…日向で朦朧としたのを最後に、記憶が無い。
それが涼しい木陰にいるのだから、秀吉様が運んで下さったのかと思うと青ざめるばかり。
「申し訳ありません、秀吉様…!
私の自己管理がなっておらず、」
「何言ってるんだ。
朝からあれだけ頑張っていたんだから、仕方ないだろ?
どうしてこんなになるまで、無理をしたんだ」
「そんな、私の事よりっ…お客様は宜しいのですか!?」
少しでも貴方のお傍にいたくて、なんてもちろん言えず。
なんとか言葉をはぐらかすため、聞きたくもないのに先程の逢瀬について話題を変える。
お似合いの二人を思い出し、胸がきゅっと押し潰されるよう。
「ああ、彼女ならとっくに帰ったが…それがどうかしたのか?」
「えっ…!?だ、だって…逢瀬では、」
「逢瀬?ああ、違うちがう。
あの娘は、三成のことを好いているんだ。
それなのに、三成の奴ときたら!」