第13章 【豊臣秀吉】一度限りの奇跡
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「光秀、あの下女と知り合いか?
話しかけていたように見えたんだが」
「あの、とは?
特に知り合いは居ないが、誰ぞ気になる女子でもいるのか」
「…いや、そういうんじゃなくて…
お前に配膳をした娘…くるくるとよく働く、良い娘だと思ってな。
三成、ああ言う勤勉な娘を嫁に貰うべきだぞ」
「えっ、私ですか…?
私などが秀吉様より先に、嫁をとる訳には参りません!」
「…色恋沙汰に興味はない、けど。
こうも打てど響かない様じゃ、流石にあの娘が不憫に思えてくるね」
「奇遇だな、家康。俺も全くの同意見だ」