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【イケメン戦国】短編集✲*゚

第10章 【徳川家康】落ちると降りるは速度の違い










「…ますたーど…で、しょ」




たくみは俺の言葉に、ぱちぱちと忙しく目を瞬かせ。
そして、要領を得た、とばかりに小さく手を叩く。
同時に心底嬉しいのだと、伝わってくるような満面の笑みを浮かべた。




「私としたことがっ…

やだなぁ家康様、わーさーびっ!」




「山椒」




「わさびっ」





「生姜」





「のんのん、わぁさびぃっ」




「…それも違わない?大蒜」






「もー!わさび、だらーっ」







二人で見つめ合い、にらみ合い。
そして、どちらとも無く吹き出す。




「我ながら、このお決まりのやりとり…

楽しすぎるっ」



「俺の気持ち、分かった?

知らずの内に、ついつい躍起になるんだよ」




「よーく、身にしみましたっ。

…これからもずっと、こんな馬鹿みたいなやり取りでも、相手してくれますか?」







急にしおらしくなって、おずおずとした瞳で見つめてくる。
俺をどうしたいんだ、なんて本気で悩んでしまいそうな程振り回されているけど、気分は上々だから困る。





「春夏秋冬、昼夜を問わず、どうぞ」


「わぁ、大盤振る舞い」


「あんたにだけだよ」


「ふふ、愛されてるぅ。

ね、私も好きですよ」



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