【イケメン戦国】私は彼が気に食わない【加筆修正中】
第2章 したたかさ と たおやかさ
「…え、女性の、好み…?」
「えぇ、先ほど話しかけて下さった媼方に聞かれました」
山のような林檎は、俺が預かる、と言ってくれた家康に任せて。
私は三成くんと安土の城下を散策していた。
二人共、政務にぽっかりと空きができた今日…
それならば、と私を連れ出してくれたのだが。
オススメだという甘味屋に着いた瞬間、お姉様方に囲まれた三成くんを観ながら食べた団子は、何故か味気なかった。
皆が三成くんに気があるであろう事は明白で、でも彼女達の気持ちを、風にそよぐ柳のように受け流すやり取りを思い出しながら。
こちらに走ってくるのを見た時に感じた安堵めいた気持ちは何だったのだろう──なんて、答えの出なさそうな問はさっさと脇に片付ける。
でも、彼女達が一生懸命ぶつけたであろう問に、彼は何と答えたのだろう…と、気まぐれにも一抹の興味が湧いた。
「それで、なんて答えたの」
「特にこれと言って好みというものはありません、とお答えしました。
私はまだそんな、選り好みをして良い身ではありませんから…もしや、気の利かない答えだったでしょうか?」
「…別に、いいんじゃないかな」