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イケメン戦国 〜いにしへよりの物語〜

第7章 天色(あまいろ)と亜麻色(あまいろ)


先に出た信玄様が心配になり、肩を並べて歩く道三様に尋ねる。

「信玄様、どこに行ったんでしょう……
お身体だって十分じゃないのに」

「ふふ、心配には及びませぬ。ほれ、あちらに」

道三様の指差す方には、軒下に置いてある床机台に腰をおろし寛ぐ信玄様がいた。

その姿に安心し思わず駆け寄る。

「どこに行ったのかと……心配しましたよ!」

「悪かったね。道三もいるから大丈夫さ。
それにほら、ここから見る春日山は素晴らしく美しいんだよ」

信玄様はそういうと空を仰いだ。

「……ほんとうだ」


道を隔て両側に積木のように連なる店の最奥には、地平線よりも更に上、天色(あまいろ)の空に高く高くそびえ立つ春日山城がそこにはあった。

「謙信には謙信の、俺には俺の守るべきものがある。

【人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり】」


信玄様はそういうとお城を見つめたままニカリと笑みを浮かべた。

言葉の意味がわからず申し訳なく思った。


「信玄様。私には……難しいです。人は城?どういう意味なんでしょう」


「人材こそが強固な守りになり、情けは人の心をつなぐことが出来る。しかし仇が多ければ結局は国を滅ぼす事になってしまうってことさ」


「仇を作らなければ戦もなく平和なんですよね……」

「それが結論だ。
数多(あまた)の子にとって幸せな世である事が俺の願いであり、信長、謙信と共に戦のない未来を作るよう尽力するさ。
その為には長生きしなければね。
なぁに、心配することはない。無茶はしないから安心してくれよ?」

「信玄様……」

これまで自身の身体は二の次で、無茶ばかりしていた信玄様とは思えない言葉に胸が一杯になった。
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