第6章 白(しろ)と至極色(しごくいろ)
厚い雲に覆われ星ひとつ見えなくなった真っ暗な秋の夜長。
対するように部屋には煌々と光がともり、陰と陽を作り出す。
ひんやり肌寒い空気に、障子を閉めようと手を掛ければ、信玄様の何とも無念な声が背中を揺さぶるかのように響きわたる。
「だぁ~~っ! 待て!道三!待ってくれっ!」
驚き振り返ると、畳に突っ伏し頭を抱える信玄様。
その姿は無邪気な子供のようで、微笑ましさに思わず口元が緩む。
「ふふ」
何でもない日がな一日が、オセロに興じる二人によって温かい思い出に塗り替えられていく。
明日も明後日も、私はこの乱世でこの場所で生きていく。
大切な皆と一緒に。