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イケメン戦国 〜いにしへよりの物語〜

第5章 霞色(かすみいろ)


朝焼けがにじむように東の空から広がり始め、
もやに包まれていた春日山城の美しいまでの全貌が徐々に現れ出てくれば、
ムクドリのかわいらしい澄んだ鳴き声が、木々に覆いつくされた山肌に響き渡る。


城門前で見送る為、刻一刻と時を待つ私・信玄様・道三様の前に、重々しい鎧のカシャカシャ擦れる音が足音と共に止まり、それまで俯いていた私は意を決し顔をあげる。



そこには…
真田栗毛の手綱を片手で持つ幸村がいた。

日に焼け血色の良い頬が、全身で固めた赤揃え(あかそろえ)の深い色に反射し、より精悍にその姿を凛々しく見せる。




幸村は、患う日が続き少しやつれた信玄様の足元へ一歩踏み込むと心配そうに声をかけた。


「信玄様、少しでも調子悪けりゃ道三に診てもらうんだぞ? 道三、よろしく頼む」

「しかと、承りました」


深々と一礼する道三様を隣に、信玄様は小さな吐息を吐く。



「おいおい……人を老人扱いするんじゃないよ。
俺はまだまだ現役さ」

「そっちの話じゃねーだろ……
発作起こす前にちゃんと診て貰えって言ってんだ」

「心配しなくても大丈夫さ。
道三は今日から城で寝泊まりするし、何より……側には姫がいるからね」

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