第4章 笹色(ささいろ)
「ブンブンブン~ 羽二枚~
ハエ アブ カ~だよ ハエ アブ カ~だよ
ブンブンブン~ 羽二枚~~~」
「ブンブンブン~ 羽二枚~
ハエ アブ カ~だよ ハエ アブ カ~だよ
ブンブンブン~ 羽二枚~~~」
「ブンブンブン~ 羽二枚~
ハエ アブ カ~だよ ハエ アブ カ~だよ
ブンブンブン~ 羽二枚~~~」
「ぷっっ……いつになったら2番歌うんだよ」
「え~、だって今度教えてって幸村言ってたでしょ。だから今度!」
「しょうがねえ。楽しみにとっとくか」
「うん」
「なぁろき。明日からお前を1人にしちまう。
側にいてやれなくてごめんな」
幸村の言葉にこれからの事を思うと身につまされる。
そんな不安を一心に打ち消す様、後ろから回した腕にきゅっと力を込め組み直す。
「心はいつも一緒……そうでしょ?」
「だな」
「大丈夫」
「大丈夫ってお前……。大丈夫じゃねえだろ。
俺がいない間、無理だけはすんな」
「……うん」
「……も少し歌ってくんねーか?」
「いいよ」
「俺、女の気持ちはわかんねえけど……
お前の気持ちはすごくわかる」
「……幸村」
「あれ……何か矛盾してねえか?」
「え?」
「女の気持ちわかんねえのにお前の気持ちわかるって……おかしくね?」
「………どういう意味よ」
「くくっ……そういう意味」
「もおおおおおおお!」
「ブンブンブン~ 羽二枚~
ハエ アブ カ~だよ ハエ アブ カ~だよ
ブンブンブン~ 羽二枚~~~」
「ブンブンブン~ 羽二枚~
ハエ アブ カ~だよ ハエ アブ カ~だよ
「ブンブンブン~ 羽二枚~
夕焼けが色を失い、満点の星を抱いた夜の美しさの中、歩を進める二人の頭上では流れ星が絶え間なく降り注いでいた。