第3章 海原の煌めきをアナタと···
~ ツキシマside ~
···こんな日が来るなんて。
いったい誰が予想しただろうか。
ベッドサイドに放られた服を見ながら、僕の隣で静かな寝息を立てる体を、そっと抱き寄せる。
『ん···』
細い肩。
艶やかな肌。
胸元に咲く、いくつもの赤い華。
どれだけ抱き尽くしても、もっと欲しいと思いながらも···心もカラダも満たされていく気持ち。
一夜限りの、なんの約束もない任務とは違う。
いや···あんなのとは比べたらダメだ。
それに僕にはもう、そんな任務は必要ないんだから。
今は···これからはただ、この小さな温もりだけを。
僕が守って行くんだから。
もう一度軽く抱き寄せてから、自分だけベッドから出る。
その辺にあるシャツに袖だけ通して、窓から見える月を眺めてみる。
あの人は···どこかでこの月を見ているだろうか。
それとも···もしかして···
違う。
オータさんもツムグも、他のみんなも。
まだ···信じてるんだ。
だから僕も、みんなと同じように···信じたい。
『ん···あれ···起きてたんだ···?』
背中に届く声に、ゆっくりと振り返る。
『お腹丸出しにして···古傷痛くなるよ?』
袖を通しただけのシャツ姿を見て、僕にそんなことを言うけど。
月「自分も···いろいろ丸出しだけど?あぁ、そうか···僕を誘ってるの?」
『え···?ち、違う!断じて違いますから!!』
顔を赤くして慌てて毛布を引き寄せる肩に···銃創が色濃く残ってる。
本来なら、嫁入り前の娘が傷物に···とか、世間に詰られても仕方ないだろうに。
あの時、あんな傷を負っても···必死に僕を守ってくれた。
だから···僕というカタチを、全てキミに上げるよ。
『あ、ちょっと···なんで押すの??』
小さな肩に手を掛けて、そっとベッドに潜らせる。
月「まだ朝までは長いから···」
『だ、だから?!』
月「今からまた、抱く事にするよ···ツムグ」
『ちょっと、待っ···んっ···』
暴れだしそうな唇を、優しく塞ぐ。
『待ってって、言ってるのに···』
月「待てないよ。やっと掴みきれた···」
本当の愛、なんだからさ。