第3章 海原の煌めきをアナタと···
私は···どうしたらいいの?
まだ行方が分からないままのケイタ兄様を残して、前に進んでもいいの?
ねぇ、ケイタ兄様···?
いつもみたいに笑いながら···教えてよ···ねぇ···
ここに居ない人を思って溢れる涙を流し、俯く。
月「で、返事は?···って言いたい所だけど、待つから。あの日···もし生き延びられたら、今度こそキミを捕まえるんだって思ってたし。最も、嫌なら嫌で、ハッキリ断っ、」
『嫌じゃ、ないよ』
椅子から立ち上がりかけたツキシマさんのシャツを、キュッと掴む。
『嫌なんかじゃない···けど···』
命懸けで私達を助けてくれたケイタ兄様を思うと、その先の言葉が続かない。
ゆっくりと椅子に座り直したツキシマさんを見て、シャツを掴んだ手を緩めた。
月「···けど?」
『私はきっと、幸せになんてなったらいけない···せめて、ケイタ兄様に報告できるようになるまでは···』
次々と落ちていく涙もそのままに顔を上げれば、ツキシマさんが指先でそれを拭った。
お互いに見つめあったまま時間が流れ、静かな夜だけか更けていく。
月「オータさんの考えは、一人で全部背負うな···ここにいるみんなはそれぞれ色々な過去を背負ってる。だから、それを受け入れた自分にもそれを背負う責任があるんだ···だったよね?」
『そう、だけど···』
月「だったら、僕にもそれを···背負わせて貰えない?仲間から···家族になりたいから」
いつになく真剣な顔で。
いつになく真剣な眼差しで。
だけど、いつもと同じ···優しさで。
私を真っ直ぐ見つめる顔に···
『私で、いいんなら』
そう返事をした。