第3章 海原の煌めきをアナタと···
『行ってらっしゃい、オータ兄様。みんなも楽しんで来てね?』
支度を終えたみんなを見送るために、ツキシマさんと外に出る。
桜「本当に大丈夫?適当な時間になったら俺だけでも帰って来れるけど···」
『大丈夫だって。せっかくアサヒ様が会を開いて下さるのに、途中で抜けるなんてダメだよ?私達は大丈夫。ツキシマさんがいるからひとりじゃないし、心配いらないから、ね?』
月「何かあっても、命懸けで何とかするから」
桜「命懸けで、か···ツッキー、分かってると思うけど、」
月「はいはい、遅れたら失礼ですよオータさん。ほら、リンネも行ってらっしゃい」
オータ兄様の言葉をはぐらかすようにツキシマさんがリンネちゃんの頭を撫でると、リンネちゃんはキャッキャッと喜んだ。
梓「随分仲良しね~。コガネとは大違い」
西「アズサさん、それ言っちゃダメなやつッス」
山「ほらコガネ、そんなに落ち込むなって」
見れば大きな体を小さく折りたたんでコガネが拗ねている。
梓「もう!コガネも拗ねないの!そのうち仲良しになれるから···ツッキーみたいに」
黄「···ゥス」
月「どーだか?」
梓「ちょっとツッキー?そういう意地悪なこと言うと···」
月「言うと?」
梓「あの事みんなにバラしちゃうわよ?」
月「はぁ···面倒。早く行きなよ」
アズサちゃんとツキシマさんのやり取りを見て、みんなが笑い出す。
アズサちゃんが言うツキシマさんの秘密っていうのは、私も知ってる。
それは、ツキシマさんがリンネちゃんの面倒を見る時、とても穏やかに笑うって事。
それから、リンネちゃんにだけは何をされても許してしまうこと。
ツキシマさんの意外と子供好きな一面を発見して。
それをたまたま見かけたアズサちゃんが、ことある事にネタにしてツキシマさんを黙らせる事に私もオータ兄様も、アズサちゃんには誰にも勝てないねって···こっそり笑ってて。
だってオータ兄様でさえ、お母さんになったアズサちゃんには勝てない時があるんだもの。
だからさすがのツキシマさんも、アズサちゃんにはいつも勝てない。
そんな日頃から見慣れた光景が、胸の奥を暖かくした。