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【ハイキュー!!】海原の煌めきをアナタと

第2章 風のざわめき


さっきの部屋を出て、ツキシマという人の後を着いて歩く。

イワイズミという人が部屋の鍵を渡し、心配なさそうだからツキシマが連れて行け···ってなって、今に至る訳だけど。

「おい見ろよ···あのツキシマさんがオンナを連れて歩いてるぜ」

「マジかよ···いいよな、これからお楽しみなんだろ?」

「羨ましいぜ···オレ終わってからオコボレ貰っちまおうかな···最近ご無沙汰だからよ」

すれ違う船員に舐めるように見られ、居心地が悪い。

ついでに言えば、よく分からないことをヒソヒソと言われて更に肩身が狭い。

それも仕方ない事だけど···あの私を見る目が、とてもイヤな感じがして、鳥肌が立つ。

···気持ちが悪い。

ひと言で表すなら、それが一番しっくりくると言うかなんて言うか。

月「ここが、しばらくの部屋だから」

ガチャりと扉を開けられ中をそっと覗けば、ひと通りの生活が出来そうな部屋である事はわかった。

「あの部屋を使うのか?···ツキシマさんがいなくなったら···」

月「チッ···面倒なのがうろついてる。早く入って」

背中をグイっと押され、無理矢理と言った具合いに部屋の中へと押し込まれた。

そのまま後ろ手に扉を閉められ、もう···本当にここから出ることは出来ないんだと確信した。

月「ちょっと···別に僕はキミに大して興味はないけど、コレは···キミの為だから大人しくしてなよ?」

『あ、ちょっと?!な、なにするの?!やめて!』

扉のすぐ脇の壁に押し付けられ、あっという間に両手を壁に縫い止められる。

『やめて···イヤ!!···離して!!』

月「シッ···こんな時くらい、黙りなよ···」

息が掛かる程に近付く顔を避ける為に、横を向く。

耳に···首筋に息がかかり、ゾクリとして···

『ンッ···』

思わず息を止める。

私の首筋に顔を埋めたかと思えば、その瞬間···今まで感じた事のないチクリとした痛みが走った。

今のは···なん、なの?

怖い、よ···

怖さが溢れて、視界が滲み出す。

月「そんな顔して、僕の事を煽ってるの?ねぇ···答えなよ?」

妖艶に微笑みながら、私を見据える···瞳。

その瞳から目を逸らすことも出来ずに、どう答えていいのか分からなくて···

ただ、静かにひとしずくの涙を落とした。






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