第1章 水鏡の揺らぎ
『それにしても、どうしていつもお供にいるのがニロさんなんです?たまには他の方でも宜しいのでは?』
ここへ来る度にお尻をナデナデされると思うと、それはそれで···ちょっと、ね。
ニ「ツーちゃんは、そんなにオレが嫌い?」
『そういう訳じゃありませんけど···』
旭「いいんだよ、ニロで。コイツもしょっちゅうダイチに小言を言われるから、息抜きにちょうどいいんだよ」
アサヒ様はともかく、ニロさんがダイチ様に怒られるのは自業自得でしょうに。
···アサヒ様のお供以外でも、何かと〖 ツインズ 〗にきてるんだから。
私は小さなため息を吐いて、隣のテーブルの片付けを始めた。
それからしばらく経って、アズサちゃんのお腹が少し目立つ様になった頃···
桜「ツムグ、買い物たくさんあるけど1人で大丈夫?もう少し待てば、ケイタも戻って来るから待てばいいのに」
『大丈夫だよオータ兄様。小さな子供じゃないんだし、買い物くらい行けるって』
梓「ゴメンねツムグちゃん、私が一緒に行けたらよかったんだけど···」
ここ数日忙しかったせいもあって、アズサちゃんは体調を崩してしまって、熱を出していた。
元々、オータ兄様は医術の勉強をしていたこともあり
、アズサちゃんにつきっきりで看病していて。
梓「オータ?時間になったら、ちゃんとお店開けなきゃダメだからね?私なら寝てれば大丈夫だし、オータの作る食事を心待ちにしているみんなの為にも、ね?」
桜「だけど···俺はアズサの事も、大事だから···」
···また始まった。
仲良しなのはいいんだけど、そこに居合わせると···ねぇ···
『あ~···コホン。とりあえず私は買い出し行ってくるから、ラブラブイチャイチャはごゆっくりどうぞ?』
じゃあ行ってきマースと言い残し、足早に部屋を出る。
あの場にケイタ兄様がいなくて正解だったよ。
絶対、茶化すんだから。
それに買い物くらい、ほんとに私1人でも行けるし!
···ただ、ちょっと不安な人物と遭遇するけど。
それは···
菅「いらっしゃい!今日は活きのいいのが入ってるよ!···あ!ツムグちゃんじゃないか!」
···出た。
港の前で魚屋を営む、スガさん。
どうも私は、この人の積極的なアプローチに毎回の如く困惑させられるんだよね。