第2章 風のざわめき
ちょっと苦しい言い訳かな?とも思ったけど、スンナリ受け入れてくれてよかった···
タダシ君の食事の支度を手伝いって配膳しながら、その量に圧倒される。
男の人って、凄くたくさん食べるんだ···ここには普段から三人しかいないのに。
そんな事を考えていると私の考えを読み取ったのか、タダシ君が大半はノヤっさんとコガネだよと笑った。
それはそれで···アハハ···
でも、いざテーブルを囲めばタダシ君が笑っていた意味もすぐ分かり、ノヤっさんとコガネが争うように食べ出す姿に驚愕する。
西「タダシ!お前またそれっぽっちしかくわねぇのか?!体力つかないし背も伸びねぇぞ!」
山「いや、オレ背はもういいんだけど」
西「なにを~!!···オカワリ!」
黄「ノヤっさんズリぃッスよ!食うの早すぎるッス!!」
お店では有り得ない光景で、見ているだけでお腹いっぱいになりそう。
まるで戦場のような食事を終え、お茶を用意して···いざ、オータ兄様達に変わったことがなかったかと聞こうとした時。
食堂のドアが開かれ···その場の空気が、凍り付く。
『···オータ···兄様』
そこにはお世辞にも優しい顔とは言えない表情を見せるオータ兄様が、姿を見せていた。
桜「ツムグ···これはどういう事かな?」
いつもの穏やかに話すオータ兄様ではなく、初めて見る凍てつく様な視線でオータ兄様は···眉一つ動かさずにジッと私を見る。
『あの···これ、は···』
山「オレが誘いました!」
タダシ君?!
山「オレが買い出しに出た時に偶然ツムグさんを見かけて、それで···誘いました」
桜「···タダシが?」
瞬きもせずに、オータ兄様はタダシ君に目線を移す。
違う···違うよオータ兄様!
心ではそう叫んでいるのに、オータ兄様の視線の冷やかさに···声が出ない。
山「はい。なので、悪いのはオレです。ツムグさんは何も悪くありません···罰なら、オレが」
桜「そう。タダシ···本来の海賊のオキテは知ってるか?」
山「う、裏切り者には···死を」
桜「それを知っていてどうして愚かな事を。まぁいい···今までご苦労だったね、タダシ。残念だよ、お前とはもっと長く仲間でありたかったのに」
そう言ってオータ兄様が懐に手を入れた。