第3章 海原の煌めきをアナタと···
梓「心でしっかり、抱いてあげなさい。それがツッキーの、父親としての役割よ?」
僕の···役割···
『ねぇ、見て?このキュッと結んだ口元、ケイ君にそっくりじゃない?』
「それを言うなら、この長いまつ毛とか···ツムグ譲りなんじゃない?···賢さはきっと、僕だね」
『賢さはまだ分からないじゃん!』
梓「あらまぁ、今から親バカ炸裂かしら···ツッキー気をつけて?そのまんま進んじゃうとオータみたいな大きな子供になっちゃうからね?」
クスクスと笑いながら、アズサさんが僕の肩に手を置いた。
桜「アズサ···誰が、どうだって?」
ため息混じりの声に顔を向ければ、部屋の入口にオータさんが立っていて僕達を微笑みながら見てた。
梓「あら、おかえりなさい。いまちょうど、オータも大きな子供だからって話してた所よ?」
桜「だから、なんで俺が子供扱い···まぁ、いいか。それよりアサヒ様への報告して来たよ。とても喜んでくれて、今すぐ子供に会わせてくれってソワソワして、ダイチ様に叱られていたよ」
軽く笑いながら言って、オータさんが赤ん坊の頬を撫でた。
桜「どう?自分の命を分けた子供は、格別に可愛いだろ?」
「···まぁ」
赤ん坊を見つめながら、思うことがある。
僕の親は···僕が産まれた時、こんな風に愛おしく思ってくれたんだろうか。
命をかけて守りたいと···思ってくれただろうか。
···結果的には、僕は両親から捨てられて街をさまようことで生きてきたけど。
それでも、今の僕と同じように···喜んでくれたんだろうか···
腕の中でスヤスヤと眠る寝顔を見ていると、その愛おしさが熱いものになって···こぼれ落ちた。
『···ケイ君?』
「ツムグ···僕の家族になってくれてありがとう。それから、僕に家族をくれて···ありがとう」
次々とこぼれ落ちる物をそのままに、僕は小さな命を心で抱きながら、僕は僕の家族の為に生きる覚悟をするんだと···誓った。