第3章 海原の煌めきをアナタと···
「僕はどうしたらいいの?!なにをすれば?!」
柄にもなく慌てて声を上げれば、ツムグは苦しそうにしながらも大丈夫だから···と弱々しく笑って見せる。
大丈夫なわけない!
ひとりオロオロとしながら周りに誰かいないかと見回しても、生憎と人影は見つからない。
「立てる?···ワケないか···だけど、どうしたら···」
もしもの時のために、オータさん達にもっといろいろと話を聞いておけば良かった。
とか、そんな事を言ってる場合じゃない。
バカなの、僕。
菅「あれ?ツキシマにツムグちゃんじゃないか!今日も日課の散歩かい?いい天気だから、散歩も気持ちよさそうだね!」
後ろからかけられた声に大げさな位の勢いで振り返る。
「ツムグが!」
だったそれだけを叫ぶと、すぐに何かを察してくれて駆け寄ってきた。
菅「どうした?!···まさか転んだとか?!」
「違う。急にこんな風に···」
苦しそうに息を吐くツムグを見て、これは大変だ···きっと産まれるって事だ!と顔色を変えた。
菅「ツムグちゃん、少し落ち着いたら···立てる?痛みが少ない内にちょっとずつでも家の方向に向かおう。ツキシマも手を貸して···あ···」
僕を見て言葉を途切れさせる顔には、腕が···と言いたいのが丸わかりになっていて。
だけど、僕の使えない腕は片方だけだからと···せめて支えられる方を譲って貰えれば何とかなるからと場所を入れ替わった。
痛みが落ち着く度に少しずつゆっくりと進み、時にはスガさんに抱き起こされながら家路を進む。
道半ばでバッタリ会ったリンネの子守中のタダシとコガネに事情を説明すると、タダシはコガネにリンネを託してひと足先にオータさん達に助けを求めに走って行った。
やっとの思いで家まで辿り着けば、そこには既にいろいろな用意がされていて、オータさんとアズサさんがツムグを引き渡されると···僕を残して慌ただしく部屋へと入って行ってしまった。
菅「ツキシマ、そんな顔すんなって。こういう時は、オレ達じゃどうにも出来ないんだからさ?後は···ツムグちゃんが大仕事を終わるまで、待とうか」
そう言われても、何も出来ない僕自身が···悔しかった。
せめて···もっと何かしてあげられたら。
そうやって自分を責めた。