第3章 海原の煌めきをアナタと···
~ ツキシマside ~
オータさんにいろいろと話を聞かせて貰って、僕なりに考えて···やっと、これでいいと思えるひとつが見つかった。
「ねぇ。名前···決まったんだけど、知りたい?」
いつ産まれてもおかしくはないと言われてるのに、なかなかそれらしい兆候がないまま僕達は日課とされている浜辺の散歩をしていた。
『名前?···本当に?!』
「ウソでもいいの?」
『いいわけない!知りたい!···いたたた···』
また···?
さっきから何度か立ち止まってはお腹に手を当てて摩る姿に、どうしたらいいのか分からない。
「帰る?」
そんな言葉ばかりが口から出ては、大丈夫だと言い張るツムグの背中に手を当てて流木に座らせた。
『ふぅ···なんかさっきから変なんだよね···時々、お腹がキューってなるっていうか』
「痛いの?」
『痛いって言うより、ふぅ···って息を吐きたくなる感じ。今は、治まってるけど···ねぇ、それより名前!この子の名前考えてくれたんでしょう?初めてプレゼントする物だから、絶対自分が考えるんだって言ってたじゃない?』
そういうの、いつまでも覚えてなくていいんだけど。
「···トワ、で」
『トワ?』
「そう。産まれてくる子が男でも、女でも···トワ」
『トワ、かぁ。素敵な響き···ねぇ、どんな意味があるの?』
絶対聞かれると思った。
「オータさんにいろんな話を聞いて、それについて僕がちゃんと調べて、納得して···考えた。意味は···遠い国の言葉で···」
〖 永遠 〗
それを告げると、ツムグはとても幸せそうに···笑った。
オータさんの子供がリンネ。
それは何度生まれ変わっても巡り会える···という意味合いを含めての名前だった。
それを聞いた時に、胸に響いて···
別に張り合うとかじゃないけど、何度も巡り会えるより···ずっと一緒に居たい。
僕は、そう思ったから。
『あなたの名前は、トワって言うんだって。ねぇ、トワ?素敵な響きでしょう?早く、私たちに会いに来て、···ね···』
「ちょっと···また?」
急に息を止めるように黙り込むツムグの容態に気付き顔を覗く。
『なんか、ヤバイ。急に···すっごい、痛い···んんっ···』
急にって···急過ぎるデショ!!