第12章 12
『何かあったんですか?』
彼は少しだけ首をあたしに向ける
『いえ、何となくですけど』
片目で見られると、心の中まで覗かれている気分になる
だけど不思議と嫌な気分じゃない
どこかで感じたこの気分
どこかで感じたあの目
「お前ェにはどんなふうに俺が見えてるんだ」
ふと声をかけられる
彼はもう星から目を離さない
『…世の中つまらない。この世界は不合理だ、ですかね』
「ククッ…不合理、か。なかなか悪くねェ言葉だ」
あたしも星を見上げる
変わらず何億もの星たちがあたしたちを見下ろしている
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