第12章 12
その人は振り向きもしなければ返事もない
だけど不思議と無視をされている感じはしなかった
高校生だろうか
私服を着ていたため分からなかった
『…隣、いいですか?』
また返事は無かった
けど少しだけ端に寄ってくれた
『あたし、冬の星って好きなんです。夏の星も好きだけど、夏みたいに全部が全部世話しなく輝いてるよりも、一個一個が協調しあって輝いてる冬の星の方が好きなんです』
「…ククッ…違いねェ」
彼の声は艶やかで、引き込まれそうな声だった
改めて顔を見る
左目は眼帯で覆われていた
髪は濃い紫がかった黒色
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