第11章 11
『あ…葉…』
その表情はやけに不安定で、崩れてしまいそうだった
「お前…手…」
朱音の掌は固く握られていて、震えていた
その瞬間朱音は慌ててその手を隠した
『なっ、何でもないから!お願い、見ないで…』
いつも感情を押し殺しているような朱音が、初めて童謡した感情を見せた気がした
咄嗟に俺はその手を掴み、店の外へ出た
何も言わず俺はひたすら歩く
朱音も最初こそはビックリして何か言ってたけど、今では大人しく黙って着いてきている
たどり着いたのは俺の部屋
『…おじゃまします』
消え入るような声で挨拶だけは忘れずに行う朱音
部屋に入ると、とりあえず俺は朱音を抱き締めた
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