第9章 9
「朱音」
『?』
「…って呼んでいいか?その…葉もそう呼んでるみてェだし」
『もちろんだよ!』
「俺のことはトシでいい。近藤さんもそう呼んでるし」
多分今俺の顔は赤いんだろう
しかしそれは暗闇に溶けて分からなかったと思う
そして俺はとんでもないことに気付く
…抱き締めたまんまじゃねェかァァァァァァ!!!!
「わ、悪ィっ!」
慌てて離す
『ううん、あたしも言わなかったし。でも…』
次に出てくる言葉を生唾を飲んで待つ
『お父さん以外の男の人に抱き締められたのなんて初めてだったから…その…ちょっとドキドキしちゃった』
ちょうど雲から月が顔を覗かせた
その時みえた朱音の顔は赤くなっていた
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