第26章 26
帰ることも出来なくなった俺は屋上へ行くことにした
そこには煙草をふかす銀八の姿があった
「おう、今度はお前か」
俺の姿を確認することもなく、いつものヤル気の無い声で淡々と言った
朱音の姿は無い
どうやら入れ違いで来たみたいだ
「お前は行かねェの?鍋パーチ―」
「…俺は行けませんよ」
ここでやっと銀八の眼に俺が映る
「…ふーん?まあ喧嘩も必要なことだけどよ、自分を保てなくなるまでになるとやっかいだぜ?」
この人はどこまで人の動きが分かるのか
確実に朱音は言ってない
あいつはさっきのようなことを人に言うはずがない
「ま、俺にとっては問題ないけどな。むしろ敵が消えてラッキーみたいな?」
「…教師が生徒に手ェ出したら問題ですよ?」
せめてものちゃかし
「お前らを完封無きまでに叩きのめして黙らせれば何も問題はねェよ。俺は朱音を誰にも譲るつもりはねェ。土方にも」
ああ
この人は本当にすごい
全てわかってる
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