第25章 25
トシは言いにくそうにしながらも話してくれた
為五郎さんに会う前に高校生相手にも喧嘩していたこと
為五郎さんに会って構成し、変われたこと
まっとうに生きようと思った時に昔の腹いせに高校生が為五郎さんを襲ったこと
「俺が来た時には既に為五郎さんの眼はやられてた。血を流すあの人を見て俺の中の何かが切れた。ハッと周りを見ると、高校生は倒れていて、俺の手には血のついた鉄パイプが握られていた。俺がやったんだ」
あたしには悔しいけどかける言葉が見当たらなかった
自分には偉そうに言う資格なんてない
自分も歩いた道
そしてまだ歩いている道
「それから俺は逃げるように今の街に引っ越した。引っ越しの日、あの人は言ってくれた。"手紙、よこせよ"と。あの件でもう視力はないって言うのに。俺は手紙を送った。けど何を書いていいのか分からず、いつも手紙は白紙のまま出した。それをあの人は毎回楽しみにしていてくれていたそうだったんだ。そして、5年前に亡くなった。今一緒に住んでいる叔母は、あの人の奥さんなんだ」
それでもトシは進んでいる
あたしの遥か遠くを歩いている
→