第25章 25
「俺、本当は両親がいないんだ。今一緒に住んでるのは遠い親戚の叔母なんだ。ま、それはいいんだけどな」
トシはいつもの調子で話していく
「俺には物心ついた頃から母親しかいなかった。父親の話は母親からしか聞いて無くて、顔も知らなかったんだ。そんで母親が死んで、俺の引き取り先は必然的に父親の元になった。でも父親には家族がいた」
それって…
「おれは妾の子だったんだ。そんな俺に居場所なんてあるわけがなかった。それでも…」
歩いてるうちに墓地に着いていた
そしてあるお墓の前で立ち止まり話を止める
「この人は俺のことを見てくれた」
お墓には"土方家ノ墓"と書いてある
「為五郎さん、って言ってな、俺の兄貴のような人だった。当然俺も懐いてずっと一緒にいた。だけど…」
ああ
この眼は
あたしと似ている
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