第19章 19
「…あの子は母親が死んだのを自分のせいだと思っている。母親が死ぬまでは笑ったり泣いたり、今よりももっと表情が鮮やかに変化する子だった」
朱音が泣いている姿がなぜか鮮明にイメージできた
「葉君は、朱音のことが好きなのかい?」
「ぶはっ!?」
いきなりぶっこんだ質問をされ、吹き出してしまった
「はっはっは!これは失礼。私も可愛い一人娘のことが心配でね。とりあえずまだ私の手から離すつもりはないがね。まあ今は私にぞっこんだが」
親父さんは勝ち誇ったように笑う
子供のような人だな
ガチャっ
扉が開き、朱音が戻ってきた
『楽しそうだね~!何の話してたの?』
「男同士の話だよ、朱音」
親父さんを見ていると、心底から朱音を心配していたのかが伝わってくる
しばらくすると親父とお袋も帰ってきた
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