第19章 19
『あ、晋助からだ。ちょっと出てくるね!』
朱音もいなくなり、この部屋には俺と朱音の親父さんしかいない
気まずいどころじゃない
「葉くん」
「はいィィィィ!」
いきなり名前を呼ばれ、背筋を伸ばす
「朱音は、泣いたかね?」
まさかこんな質問が来るとは思っていないかった
「…僕が知る限り、泣いていません」
「…やはりそうか」
親父さんが哀しそうに笑う
その顔は朱音のモノと同じだった
「朱音は学校ではどんな感じかね?」
父親なら当たり前に心配することだ
「朱音さんは毎日とても楽しそうで、明るくて、強くて。僕らの方が元気をもらっています」
「…そうか」
心底ほっとしたような表情を浮かべる
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