第2章 HONEY & LOVER
面白いくらい百面相していたアイツ。まぁ、何となく考えてそうなことは分からなくはないけど。
慌てて風呂に入る当たり、後で追及したら面白そう……なんて思ってしまう俺。
……兎に角、風呂上がりのアイツを腕の中に閉じ込めて堪能しようと思う。抱き締めたくて仕方ねぇから。
……………………ん?
風呂、長くねぇか?まさか、何かあったんじゃ!!?浴室の外から声を掛ければ、直ぐに返事が来た。逆上せたりしている訳でもなさそう?
暫くして出てきたアイツは、全身から湯気を立ち上らせていた。一体、浴室で何をやっていたのやら。
「髪、乾かしてやる」
「あ、ありがとう……」
素直にされるがままのアイツ。いい香りがするし、たまんねぇんだけど。妙な色香があるし。
これでおあずけなんて、何の苦行?なんて思ってしまう俺。でも、今はその苦行を……。
だって、アイツの俺をチラチラと見る視線。あんまり驚かせたり怯えさせたりもしない方が良さそうだ。
たわいもない話をしていると、漸く、何時ものアイツになってきた。今はこれでいいんだろう。
「そろそろ寝るか」
「うん」
当たり前に俺の隣に横になるアイツ。これはいいのか?って、余計なことは言わないでおこう。
腕を貸してやれば素直に腕枕されてるし。でも、頬を赤く染めている辺り可愛いんだけど。
俺もかなりアイツに懐柔されてるよな。ま、いいか。
ライブは成功したし、アイツもかなり楽しんだみたいだし。疲れてたのか、簡単に寝落ちして……。
アイツの髪を撫でては、色んなところにキスしておいた。夏休みはまだまだこれからだ。
もっとアイツに触りたいし、もっと関わりたい。時間の許す限り、アイツと一緒にいる時間を作ろうと思う。
叔母さんの手伝いもあるけど、俺に協力的な人だから無下にも出来ない。
俺の予定もあるし、暫くは忙しいけど夜はなるべく一緒にいたい。そう言えば……あの男のこともある。
噂の原因はあの男に間違いないだろう。いつ、アイツにちょっかい出してくるやら。それに、何の為にあんなデマを流したのかも気になるところだ。
アイツの唇にキスをしては、俺も目を閉じた。