第2章 HONEY & LOVER
玲衣と分かれ、私は朔良くんとの待ち合わせ場所に向かった。朔良くんの姿があったけれど、隣には可愛い女の子がいた。
最近、テレビで見る売り出し中の女の子だ。朔良くん……相変わらず、強面な表情をしていた。声を掛けるのは駄目かどうか分からなくて、何も言えずに突っ立ったままの私。
朔良くんは女の子に短く何かを告げては、私の方へ歩み出そうとした。でも、女の子は朔良くんの腕にしがみついては引き留める。
私は呆然…………。でも、朔良くんは容赦なかった。冷たく腕を振り払っては、何かを告げていた。泣きそうな顔をしてから、今度は私を睨み付けてきた。
し、修羅場?私……睨まれてる?朔良くんに付いて、女の子も来た!!
「檜山さんは、一般人とは合わないと思います!!こんな女より、私の方が断然可愛いじゃないですか」
「は?何処が?」
女の子は驚いています。だって、まさかそんな返答が来るとは思わなかったのだから……。私も、女の子の方が可愛いと思うし……。
「ど、何処がって全てです!!」
「あ、そ。でも、俺はこいつがいい」
淡白な返しと、容赦ない拒絶。恋敵ながらも、気の毒になってしまう朔良くんの対応。
「待たせたか?友達は?」
「ううん、今、着いたとこ。玲衣は途中で……」
「そう。じゃ、行くか」
えっと…………もう、朔良くんの中では女の子のことは終わったことになってるけど、まだ、いるんですけど……。睨まれているし……。
「どうかした?」
「えっ…………あ、打ち上げ……」
30分居れば帰ってもいいことになっているのだと、朔良くんから言われた。
「ほら、行くぞ」
手を引かれ私は気になりながらも、その場を後にした。
「朔良くん……本当に良かったの?」
「打ち上げのことなら問題ない」
「そうじゃなくて、さっきの女の子のこと」
朔良くんを見上げれば、本当に興味無さげな表情。好きな人にこんな表情をされたら、軽くへこめるレベルに。
「どうでもいい。つーか、俺のこと踏み台くらいにしか思ってないだろ」
「踏み台?」
「他の男に声かけてんの見たことあるし」
朔良くんの言葉に何も言え無くなった。私は、繋いだ手に力を込めた。
「バーカ。そんな必死になんなくても、お前があんなヤツと同じなんて思ってねぇから」