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【HQ】陽のあたる場所へ

第13章 長期合宿前編


その日の夜、洗濯したビブスを干して、今日の仕事終わりーと伸びをしながら体育館を覗くと、スパイクを打ってる翔陽とトスを上げてる研磨さん。…ん?研磨さん?
研磨さんが自主練するなんて珍しいな、と思ってると目が合う。

手招きされて近づくと、
「優希、助けて」
「優希ー!研磨がもう終わりって言う!」
対照的な2人だ。

「第3体育館に行ってみたら?光ちゃん達が自主練してると思うよ」
まだまだ練習し足りない様子の翔陽に言うと、強豪のエース!と嬉しそうに走って行った。

「優希ありがと」
「珍しいですね、研磨さんが自主練に付き合うの」
「翔陽がしつこいから…」
「ふふ、確かに翔陽には勝てないかも」





ーside研磨ー


優希と話しながら食堂までの廊下を歩いてる時、俺が急に立ち止まると優希は不思議そうに振り返った。
「優希ありがと」
「さっき聞きましたよ」
「違う。…今まで通りに接してくれて…」

唐突に言えば優希は、あ…と言葉を詰まらせる。
「優希が赤葦を好きだとしても、俺の気持ちだけ知っててくれればいいよ。返事いらないし」
「いや…別に私は…」

赤葦の事好きじゃない、とか言おうとしてるのかな。
でも俺には分かるよ。優希が赤葦を見る目は、俺が優希を見る目と同じだったから。
ま、優希に好意があるのは俺だけじゃないけどね。クロと月島と、あと烏野のセッターの怖くない方。リエーフもか。他にも居るかもしれないけど。あとは赤葦も…たぶんそう。

「赤葦は良い奴だよ」
俺が言う事じゃないかもだけど…と言えば優希は
「研磨さん良い人過ぎますよ…」
ボソッと呟いた。…良い人、か。

「それでいいよ」
と優希の頭を撫でれば、優希は驚いたように俺の顔を見上げる。
「俺は友達でいいよ。優希が俺に気を許して話せるなら…それでいい」
「…ありがとうございます」

申し訳なさそうな優希の頭をもう一度撫でると
「早く食堂行こう。お腹空いた」
俺は優希の手を取って食堂へ向かった。


…友達、か。
言い出したのは俺だけど、思ってたより凹むかも。
後でクロに八つ当たりでもしようかな。


ーsideendー
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