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【HQ】陽のあたる場所へ

第8章 閑話にー伊達工業


「おーっす」
突然、私が座っていたすぐ横の扉が開いてびっくりした。
たしかこの人…バレー部の3年生だ。
目が合いお辞儀をすると、いきなり後ずさる。
え、私何かした?

「なんで他校の女子がこんなとこに!?」
「あ、すいません。青根さんの…」
「青根の彼女かっ!?」
落し物を届けに。と言う前に被せられた。
「いや、あの…」
また間違われるの?と思って否定しようとすると、
「鎌先さーん、また来たんですかー?暇なんですか?」
と二口さんが気づいて話しかける。

暇ならブロック跳んでください。と言う二口さんに、任せろ。と言いながら腕捲りをしてコートに入って行く3年生。基、鎌先さん。
あれ?勘違いされたままな気が…。


しばらく見ていると部活が終わり、鎌先さんが二口さんと青根さんと一緒に、こちらへやって来る。
「お疲れ様です」
声をかければ、おー。と二口さんが返してくれる。

「そうだ!おい青根!お前いつの間に彼女できたんだ!?」
鎌先さんがすごい勢いで青根さんに問いかける。
ハテナが浮かんでいる青根さんにずんずん詰め寄る鎌先さん。
「あの、彼女じゃないです」
私の言葉に、はあ?と疑問の声をあげて、
「じゃあ何で他校の部活なんて見に来てんだよ!?」
「青根さんの落し物を届けに来ました」
なんだ、俺の早とちりか。と大人しくなった。

「優希は友達です」
声がした方を振り向くと、青根さんだ。
もしかして今、青根さんが喋った?しかも友達って?
ほら、二口さんも鎌先さんもびっくりしてるじゃん。

でも、無口な青根さんの声を初めて聞いたのが、私との友達宣言。
ちょっとどころか、かなり嬉しいんだけど。

「友達になってくれるんですか?」
と嬉しさを隠しきれずに笑顔で聞けば頷いてくれる。

先に我に返った二口さんが
「俺も優希とおトモダチになりたいな。だから連絡先教えてよ」
と言ってきたので、青根さんも一緒に連絡先を交換する。
鎌先さんはまだ目を見開いていた。


そして帰りはちゃんと家の前まで二口さんが送ってくれた。
見た目は軽くてチャラい感じだけど、練習を見て思った。実は優しくて後輩思いな人だ。だから真面目に私の事も家まで送ってくれる。

「また連絡するね」
と言って去っていった二口さんの背中に手を振って、私は家に入った。
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