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【ツキプロ】篁志季と私の8日間

第1章 S


私は唯愛。
普通の会社員。歳は21。高卒で、どこの会社にも相手にされなかったが、ようやく勤め先が決まったところだった。
そして今日、両親の元から離れて初めての東京での一人暮らしをスタートさせるのだ。
“東京は広いし大きいなぁ”
そんなことをしみじみと感じながら、私は新居から徒歩5分程度の場所にある喫茶店でコーヒーを飲んでいた。
さすがに家の整理をぶっ通しでするのは疲れる。家の片付けは大体済んだが、まだまだだ。新しく買った食器はまだ手付かず。一人では大きく感じるダブルベッドのマットレスも未だフィルムを剥がしていない。
そんな状態でのブレイクタイム。焦りはするけど、ここのコーヒーはすごく美味しくて、来た後悔は無かった。

気づいたらコーヒーは底を尽きていた。
スマホの画面に目をやると午後5時だった。
“今夜中に片付けられるかな。”
ますます焦りを感じた私は、ここの喫茶店を後にした。

家に帰ると、ダンボールの山だった。
スマホでSNSの通知を確認し、音楽を鳴らして再開する事に決めた。
最近ハマってる音楽。それは、人気グループのSolidS。
4人みんなかっこいいけど、そんな中で私が選んだのは、負けず嫌いで、ノリが良くて、音楽バカで…超かっこいいリーダーだった。
せっかく東京に来たのだから、ライブは勿論、もしかしたら街中で会えるかも!なんて想像を密かにしていた。
“んな訳ないよね。”
自分に呆れながらさっさと片付けを済ませた。

「よしっ!」
新品のアナログ時計を見ると、針は10時を指していた。
全てを片付けた私は、お気に入りの曲を聴きながら、小さなベランダに出て大きく深呼吸をした。
都会の夜空は澄んでいた。都会は汚くて、明明としてるから夜空なんて意識しないと思っていたが、都会の空でも十分美しかった。
夕食をコンビニのおにぎりで済ませ、初めての浴室でシャワーを浴びた。そして、新品のベッドに身体を預けた。
その時目に写ったのは、彼の方のポスターだった。
“し…き”
いつか、こんな人と付き合えたらなぁなんて…。
毎日夢見がちなことばかり考えてた。頭の中は…いつも…。
少し寂しくなりながら目を瞑った。

朝起きて支度をして会社に向かった。
玄関を開けた先、真正面にいたのは…。
私の大好きな…

志季さん!?
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