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愛の唄 【Fate/GrandOrder 天草四郎】

第7章 愛の唄 Ⅵ




「おやすみなさい、マスター。」

―――――深く、深く、眠る。
―――――下へと引っ張られるような感覚、或いは緩やかな落下。下へ、下へと落ちてゆく感覚。


 途中、南京錠らしき鍵のかかった扉のようなものが見えた。コンコン、とノックしても、取っ手を握って揺すっても、ビクリともしない。どうやら、南京錠をどうにかするしか、方法はないらしい。でも、鍵なんてどこにも無い。

 これは困った。私は、天草が“見た”ものを見るために、ここへ来たのに。私は、天草のことが、もっと知りたいのに。――――理由は分からないけれど、そんな衝動だけで、私はここまで来たのに。

 何となく、分かる。きっと、この扉の前でぼーっと時間を過ごしていても、私は朝になれば普通に起きられる。でも、天草のことは、何も分からないままだ。そんなのは、嫌だ。
 どうして? 私は、ここまで天草のことが知りたいと思ってしまうのか?

「……っ。」

 もう、ここまで来れば、認めるしかない。認めるしかないのか……! 錠前を両手で包みながら、私は思い切って言葉にする。もう、ここまで来ておいて、自分の気持ちから目を背け続けるなんて出来ない。
 深く、息を吸いこんで、吐く。大丈夫、大丈夫。誰も聞いてないんだから。


「四郎、開けて。私、四郎のこと、もっと知りたい。お願いだから、ちょっとだけ、四郎の中に、入りたい。私は、四郎のことが―――――……え?」

「きゃ、あああぁぁぁぁぁ――――――!?」

 扉は、勢いよく開かれた。あの大きな南京錠は何だったのか―――!?



―――――更に深い場所へと、堕ちていく。

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