愛の唄 【Fate/GrandOrder 天草四郎】
第5章 愛の唄 Ⅳ
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自宅へ帰ってから、封筒を開ける。そこには、一万円札と、小さな栞、そして手書きのメモが入っていた。流石に、万札は貰い過ぎな気がしたけれど、メモを読むことにした。
お世話になりました。
助けていただき、ありがとうございました。
心より御礼申し上げます。
少ないですが、せめてものお礼です。
栞は、幸運の御守りです。
貴女に主の加護があらんことを。
天草四郎時貞
端正な楷書で書かれた字は、非常に読みやすく、彼の教養レベルをうかがわせた。
十字架のモチーフが取り入れられた栞は、繊細な銀色の縁取りがなされており、センスの良いものだった。そして、どことなく彼を彷彿とさせた。
「―――――四郎。天草、四郎……。」
今日はもう、遅い。連絡は明日にしよう。
眠気は、すぐにやってきた。
―――――深く、深く、眠る。
―――――そういえば、彼は、私のことを、どう思っているのだろう。