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愛の唄 【Fate/GrandOrder 天草四郎】

第3章 愛の唄 Ⅱ


***

「……そんなに笑わなくても良いではないですか……。」
 私が昨日作っておいた雑炊1人前をぺろりと平らげた彼が、やや気恥ずかしそうに、小さな声で抗議してきた。
「ぷっ……、ごめんね。あんまり可愛かったから、つい。あ、っていうか、食欲あるみたいだね。白いご飯で良かったら、お代わりたくさんあるよ。海苔とかふりかけとか、ご飯の供も、適当にあるから。」
「……。白いご飯、いただいても良いですか……? 海苔も付けてくださるなら、それも……。」
 恥ずかしそうにしながらも、ご飯のお代わりはちゃっかり言ってくる辺り、“天草四郎”さんは、それなりに良い根性をしていると思う。
「インスタントのお味噌汁とかで良かったら、それも出せるよ。さすがに、それ以外の食べ物は、まだやめたほうがいいと思うけど。」
「あ、それでは、お味噌汁もお願いします。」
 顔を若干赤く染めながらも、手は休まることなく白ご飯を食べ続けている。取り敢えず出したお茶も、特に問題なく飲めている辺り、日本人なんだなぁと思う。それにしては褐色肌に銀髪という謎の容姿だけど。
「ハイ。よく混ぜて飲んでね。」
「ありがとうございます。」
 彼は、インスタントの味噌汁も美味しそうに飲んでいる。小さな具を、箸を使って器用につまんで食べている辺り、箸の扱いも慣れているようだ。ますますもって、この目の前の人物が分からない。しかも、けっこうな勢いで食べ進めているので、会話をすることすら、気が引けてしまう。そう言えば、昨日も何も食べていなかったのだ。当然のことかもしれない。それに、もしかすると、何日も前から、何も食べていなかった可能性すらある。それならば、これだけがっつくのも頷けるというものかもしれない。
「あ、白ご飯、もう1杯、要る?」
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