第1章 ハイキュー!!音駒
「クリームソーダにのってるサクランボ、好きなんだよな。うまいと思わねえ?」
「…うまいです」
「だろ?オレが好きなもんやるなんて滅多にねーんだからな」
まぁ、唯一例外な研磨くんには、いつだって何だって譲っちゃうんだけど。
これを言ったらまたうるさく騒ぐに決まってるから、黙っておくことにする。
「じゃあ、なんで…くれたんですか?」
「さあ、なんでだろうな」
なにかを期待するような眼差しを向けてくるリエーフへ、ニヤッと笑ってみせる。
「筑流さん、ズルい!教えてくださいよ!」
「はっ、やだね。勝手に期待でもなんでもしてろよ、責任はとらねぇけどな」
さっきまで散々振り回してくれたんだ、これくらいの意地悪は許されんだろ。
やっと自分のペースを取り戻せたことで、ニヤニヤが止まらない。
「ツクルくん、けっこうSなのね…ドキドキしてきちゃった」
「すんな」
なんで頬を赤らめる?そこで少女漫画の恋する乙女な反応おかしいだろ。
…どうしよう、もう一人の変態が倒せない。
なんて強敵なんだ、ちょろすぎるクロが懐かしい。
女の人相手だと乱暴に扱うわけにもいかねえから厄介だ、こんなにグイグイくる相手はじめてだしなぁ…困った。
「あのさー、オレそろそろ帰りたいんだけど。クリームソーダも飲み終わったし」
「まだ話が終わってませんよ」
「そうね。晩ごはんでも食べながら、じっくり続きを話そう?」
「だーから、勝手にしろっつってんだろ。どうすれば納得するんだ、お前らは」
おら、さっさと望みを言いやがれ。バッサリ切り捨ててやらあ。
あまりのしつこさにイラっとし、面倒くささも相まって思考が攻撃的になっていく。
「じゃ、じゃあ…俺のもんになってください!」
「嫌だ、オレは物じゃねえ」
「そういう意味じゃなくてっ…恋人になっ」
「断る」
「頑張って、レーヴォチカ!」
「じゃあ、俺だけのマネージャーに」
「無理」
「レーヴォチカ、ファイト!」
「なら、せめて友達から」
「残念。オレの中で灰羽リエーフという存在はすでに後輩カテゴリーへ分類されている、よって今さら友達は微妙に難しい」