第1章 ハイキュー!!音駒
灰羽姉弟はひとまず置いといて、おろおろしている店員さんに頭を軽く下げて微笑んだ。
「…お、お待たせいたしました、クリームソーダになります」
「ありがとうございます、騒いですみません」
「い、いいえ」
「ところで、おねーさん。お仕事何時までですか?」
「えっ…?」
とくべつ美人なワケじゃないけど、清潔感のある黒髪が綺麗な店員さんを、キリッとした顔を意識して見つめる。
「よければ、オレの奢りで晩ご飯でも一緒にど」
「ゴメンナサイ。この人いつもこんな感じなんで気にしないでくださいね」
「ごめんねv」
「は、はい…!」
ハーフ美形二人のオーラに圧倒されたのか、店員のおねーさんはオレには目もくれずによろけながら去っていった。
こいつらマトモにしてればモデル並みの容姿を無駄に活用しやがって…!
「筑流さん、見た目でオレたちに敵うヤツがそこら辺に居ると思ってんですか?」
「ふふふv」
残念ながらこの二人、自信過剰だと言い切ってしまえないくらいには美形の部類だ。
…認めたくないものだな(最近、昔のガ○ダム見たんだけど赤ザクかっこいー)
が、しかし。ここは敢えて反論させてもらおう。
「オレの主観で言わせてもらうなら、お前らより研磨くんと夜久の方がかわいくてよっぽど好みだ」
モデルばりの美形がどうした、オレは綺麗系よりかわいい系が好きなんだよ!
キッパリ言ってやると二人が静かに固まったので、クリームソーダのバニラアイスを長いスプーンでつついて食べる。
…うん、このシュワシュワと食うアイスが美味いんだよなぁ。
「…筑流さん」
「ん?」
アイスが残り半分になった頃、沈黙効果の消えたらしいリエーフの声が聞こえた。
今度はなんだ?と目線を上げた瞬間、ストローで吸い上げたメロンソーダを勢いよくグラスにリバースした。
「ぶごぼごぼっ!!」
クリームソーダが行儀悪く、ぼこぼこと泡立つ。
「げっほ……リエーフお前、なんつー情けない顔してんだ」
眉下げて涙目って…それでも獅子という名の男か、バレー初心者のくせにモヒカン山本差し置いてエースを豪語しやがる強気はどこに置いてきたんだ?このニャンコ。