第1章 ハイキュー!!音駒
二人の存在は無視して、店員さんを呼ぶとクリームソーダを頼む。
「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
「あと…できればオレを今すぐここから連れ出してもらえませんか?」
「え…あの…」
藁にもすがる思いで、店員のおねーさんの手を握り懇願してみる。
普段は溌剌と元気なタイプの女の子が、抵抗もできずどうすればいいのか戸惑う姿ってなんかかわいい。
弱々しく抵抗されるのも、それはそれでそそられるモノがあるけど。
「筑流さん、手ぇ離して!浮気はダメです!」
「…では、少々お待ちください」
リエーフに手をベリッと剥がされ、解放されたおねーさんは行ってしまった。
あー、希望の藁が…。
「ふふふvレーヴォチカったら嫉妬しちゃってかわいいv」
いやいや根本的におかしいだろ。
浮気に嫉妬ってどこの恋人の話?オレらただの先輩と後輩……って、も、いいや。
脱力してテーブルの上に突っ伏す。
「筑流さんクリームソーダ好きなんですか?意外と子どもっぽいとこあるんですねー」
「クリームソーダ、家で飲めるようにしておかなくちゃ」
「…たまーに飲みたくなるんだよ。普段はジュースとか飲まねーから準備しなくていい、つーか灰羽家には一生近づかないって今決めた」
立ち入ったが最後、無事に何事もなく外へ出られる気がしない。
オレ限定ホラーハウスかよ、笑えねぇ。
「ええーっ、なんでっスかあ!?」
「我が家の何が不満なの!?」
「なんでもクソもねえよ。不満なのは灰羽家じゃなくてお前ら姉弟だ」
「筑流さん、ひでェ!こんな美人な姉ちゃんのどこが不満だって言うんですか!?」
「ツクルくん、ひどい!こんなにかっこ良いレーヴォチカのどこが不満なの!?」
黙れシスコンにブラコン。
さっきから店員さんが、声かけんの躊躇ってんだろうが。
届く前にクリームソーダのアイス溶けちゃったらどうすんだ。