第2章 ハイキュー!!音駒で梟谷
「たしかに、かなりマイナーですからね。部数も少ないですし…秋月さん、よく買いましたね」
「なんかタイトルがすげー気になってさ。それ言うなら、赤葦くんだって同じじゃね?」
「いえ、俺は……」
そこで迷うように本へ目線を落としてから、続けられた赤葦くんの言葉に。
「関係者ですから」
思考が一瞬、固まった。
「…………え?」
「だから、関係者」
「ん?」
「聞いてます?」
「え、なにが?」
頭がよく回らないまま聞き返したら、赤葦くんが溜め息を吐いて本を指差した。
スーッと指先が作者の名前をなぞる。
「俺の名前は、赤葦京治(アカアシ ケイジ)です」
「う、うん」
「この作者の名前は?」
「ジケイ・アシアカ」
「京治を10回ほど言ってみてください」
「けいじけいじけいじけいじけいじけいじけい…あれ」
「じゃあ次、俺の名字は赤葦です。あか、あし…では、これは?」
「あしあか………えっ」
あか、あし→あし、あか
けい、じ→じ、けい
つまり。
けいじ・あかあし→じけい・あしあか
あかあし・けいじ→ジケイ・アシアカ
「えええええ!?」
ちょ、待った、どうゆうこと!?
「わかってくれましたか?」
「や、わかんねえ」
「……ジケイ・アシアカは俺です」
「……」
「この本は去年、俺が気分転換に書いたネタをまとめた物です」
まさかの作者本人だった!
今度こそしっかり理解したオレは、ガシッと赤葦くんの手をつかんで迫り。
「赤葦くん」
「なんですか?」
「ファンです、サインください!」
「いいですよ」
やったぜ、いやっふう!!
さすがにペンをいつでもどこでも持ち歩いてはいないし休憩時間もそろそろ終わる為、自由時間の取れる夜にでもまた話をしようという約束をする。