第1章 ハイキュー!!音駒
自分がいちばん恥ずかしいのわかってんだよ叫ぶな!!
「言っとくけどアレ、お前の真似だからな」
「…嘘つくな、暗黒な歴史に人を巻き込むんじゃねーよ」
「嘘じゃねーし。薄ら寒い台詞よく言ってんだろ、Mr.ポエマー」
「ポエマー忘れろ。俺のアレとお前のソレは別物だろうが」
「クロ、女子にもノリで口滑ってんじゃねえか」
「…マジで?」
「無自覚かよ…」
クロと騒ぎながら、さっきから静かな研磨くんをチラチラ気にしてみるが、なんの反応も見られない。
真面目に恐い。
「……ツクルは、リエーフの姉さんが好きなの?」
「は?」
「どうなの」
やっと反応してくれたと思えば予想外すぎる言葉に、恐さも忘れて研磨くんの表情を確認した。
……わっかんねえ…微妙でも嫌そうでもないとか、意図がまったく読めない。
「さすがに、初対面の人間をすぐ好きになるほど恋に浮かれちゃいません」
「…世間一般では、一目惚れっていうものが存在するらしいけど」
「オレ、仲良くなってからいつの間にか好きになるタイプ」
「ふーん…」
「おいおい、筑流の恋バナ聞くのとか初めてじゃね?俺も混ぜなさい」
恋バナて、女子高生か。
真剣なツラして堂々と茶化しにくんな、おとなしく聞き専に徹しとけ鉄朗。
「…もう話は終わったから」
「え、もういいの?」
「うん」
なんかあっさりしすぎて拍子抜けすんだけど。
怒りも呆れもせず、ただただいつも通りな研磨くんの様子にホッとしたような寂しいような、複雑な気分が胸の中でぐるぐると。
そう、グルグルと……。
「筑流…ったく、しょんぼりすんじゃねえよ。相変わらず構ってちゃんだな、お前は」
「………」
構ってちゃんという言い方は好きではないが、意味合い的には図星なので睨むだけに留めておく。
寂しがりなキャラじゃねえって似合わねえってわかってるよガキで悪かったな!
「研磨も、筑流の好きな相手じゃなければ別になに言おうが気にならないし安心したからもういい…って素直に言ってやれよ」
「なにそれ……クロ、勝手に間違った代弁しないで」