第1章 ハイキュー!!音駒
「……引くかどうかは、聞いてから決める」
「それ、高確率で引かれる気がすんだけど………『本気でオレがほしいなら、寝床で組み敷かれる覚悟してから言いに来い』」
「「は?」」
研磨くんとクロがハモるとか天文学的な奇跡率なんだけど……明日、隕石降ってくんじゃね?
映画が一本撮れるかもしれない、RECの準備しておこう。
「筑流、お前…そっちの趣味があったのか…」
わざとらしく驚いた表情で額に手を当てるクロの演技にイラッときて、女子から人気のある顔に平手をバシッと一発くらわせた。
「ってえーな!顔はヤメロ!」
笑えない演技したクロが悪い。
痛いとか言われなくてもわかってるし、加減はしたから謝らねえぞ。
「………」
それよりなにより研磨くんの無言の訴えの方が何万倍も痛いって知ってるか?
冷や汗でてくるレベルだから。
「ツクル………ほんと気持ち悪いから、あんまり変なこと言わないで」
「大変、申し訳ない…」
前言撤回、言葉も痛かった!!
クロてめえ、ざまあみろ!とでも言うような顔して笑い堪えてんじゃねーよ。
心に激しいダメージを抱えながらクロを睨みつけるが、やつのニヤニヤは止まらない。
…こいつ逆の頬も平等に叩いてやろうか?
「筑流、あの美人な姉ちゃんにも耳元でなんか言ってただろ」
「沈黙しろ」
「なんて言ったんだよ?」
「黙れっつってんだよ」
「おれも知りたい」
「研磨くん!?」
これ以上怒られたりドン引かれたりすんの嫌なんだけど!
バカすぎることを言った自覚は多いにあるし、もしも研磨くんに嫌われでもしたら絶望のあまり引きこもりになる自信しかない。
「ツクル、なんて言ったの?」
「うぅ……『少しでもオレのこと譲りたくないと思ってくれるなら、手ぇ離して?』『オレとしては、あんたに諦めてほしくねえんだけど』……って言いました」
「ぶぼふぁっ……鳥肌立つほど恥ずかしいバカがこんな身近に居やがった…!!」
間髪いれず盛大に吹き出して叫んだクロの尻に、軽く回し蹴りをきめる。
「痛っ!」